真夜中の神秘的な儀式、
「春日若宮おん祭り」の「遷幸の儀(せんこうのぎ)」という儀式に
今年も親子で参列してきました。
若宮おん祭は1136年に藤原忠通が五穀豊穣を祈ったのがはじまりとされている行事で、
御神体である若宮様(天押雲根命/アメノオシクモネノミコト)を
春日大社横の若宮神社から、
深夜12時に一の鳥居と二の鳥居の間にあるお旅所に移す儀式から始まります。
そして、その日が終わる深夜12時までに若宮神社に御戻しするまで
猿楽や様々な祭礼でおもてなしを行うといったものです。
ここでの猿楽が能の発祥となり、
参道脇にあった影向の松(ようごうのマツ)は能舞台の鏡板に描かれています。
さて、この深夜の儀式、
一切の明かりが消され、雅楽の音色と大勢の神官が暗闇の中、
御神体を隠すようにとりまいて、ゆっくりと移動していきます。
先頭の神官は大松明をひきずり、たたいて火の粉を落とし、
真っ暗闇の中に火の粉の道をつくります。
その光がとても神秘的で、
神官達の魂から出るような声の響きが
さらに御神体の存在を感じさせずにはいられません。
驚くのは、この儀式は始まって以来一度も途絶えた事がないとの事。
人間の根底の何かにふれているようで
その暗闇と空気の中で
異次元にいざなわれた感覚です。
真夜中でもコンビニや道路や、そこを走る車で、暗闇が無くなってきている都市の生活。
見えるものだけを信用し、
見えないものへの敬いの気持ちも薄くなってきていますが、
暗闇の中での神事、
878年も途絶えることなく続いてきた儀式は、
人間が自然や神ともっと近かった時を
想像させてくれます。
しんと冷え込んだ空気の中、
眠い目を一生懸命ひらいていた我が子達。
古代日本人の心、
忘れているようで、
遺伝子のどこかには
書きこまれているかもしれません。。。