関西では、春を呼ぶと言われている 東大寺の「お水取り」が始まりました。
あの、大きな松明(たいまつ)を持ったお坊さんが
二月堂の舞台を走る行事で有名です。
お水取り とは 修二会 (しゅにえ) というもので、
今回で1263回目を迎え、始まりの752年から一度も途絶えた事がありません。
正式には十一面悔過(じゅういちめんけか)といい、
本尊の十一面観世音菩薩に懺悔(さんげ)し、五穀豊穣・国家安泰、
ひいては今日、世界平和まで願う儀式です。
この お水取り という言い方は、
東大寺 二月堂 の 閼伽井屋(あかいや) という井戸から
お香水 とよばれるお水を汲み、本尊にささげるというところからきています。
これには 神話があり、
東大寺初代別当の良弁の弟子 実忠和尚 (じっちゅう)が始めた行で、
13,700余りの神様を招きましたが、
若狭を守る神様 遠敷(おにう)明神だけが 釣りをしていて遅れました。
そのお詫びに 若狭より、本尊にささげるお水(お香水と呼ばれる)を送るといいました。
それからすぐに、二月堂近くの岩から、白と黒の2匹の鵜(う)が飛び出し、
そのあとから水が湧きだしたということです。
そして、そこが 閼伽井屋(あかいや) となりました。
今でも 若狭の神宮寺というお寺にある閼伽井戸(あかいど)というところから
「お水送り」という行事があり、
実際に、その井戸から汲まれたお水を「鵜の瀬」という川に送るそうです。
言い伝えでは、そのお水が不思議な地下の道を通って奈良まで来るとの事。
こんな面白いお話を知って お水取り の行事を見るのも楽しいですね。
ところで、ことばの不思議がもうひとつ。
たまたま 英語の語源の本をみていたら、面白い事が書いてありました!
ラテン語の
aqua ( アクア )が 日本語の
水 と関係がありそうだと気付いた筆者が
広辞苑 で 「
あか」 を引くと 「
貴賓や仏前に供える水」 とあり、
梵語の
argha から来ているとあったそうで、
ローマ → インド → 中国 → 日本 とやってきた言葉だろう、と。
英語でも
aqua は
水。 これもラテン語から来たものですね。
そして、
aquarium (
水族館 )
Aquarius (
水瓶座 )
など、 水に関係する語の中にあります。
お水取りに関係する井戸が 閼伽(あか)井屋 というのは
aqua とつながってそうですね!
そんなことを考えながら日本の古い事を見るのは
本当に楽しいです!
東大寺の「二月堂縁起」から 私なりに神話を訳してみました。
ご興味ある方は見てみてくださいね~。
OmizutoriOmizutori is a Buddhist ceremony practiced at Todaiji.
It is said in Nara that, “ Spring is coming after the Omizutori.” .
It is held in Nigatsudo Hall (February Hall), in Todaiji for 2 weeks
in March every year.
Why is it held in March in February Hall?
All events from the ancient period were based on the lunar calendar.
The Omizutori, literally means “ taking water ( from the well )”.
The story begins like this;
In ancient times, in Nigatsudo, the priest Jicyu(実忠) practiced
the “27 nights” ceremony.
In this practice, he invited all the gods in Japan,
who numbered about 13,700, to join the worshipping.
Now, there was a god who lived in Wakaksa, north of Kyoto,
named Oniu Myojin( 遠敷明神 ), who was also invited.
But he had been fishing, and he was late for the ceremony in Nara.
He was ashamed of himself and embarrassed.
So, he decided to send “special water” in a magical way
as an apology and an offering to the Buddha from Wakasa.
Moments later, in Nara, 2 cormorants ( 鵜 ), one was black and
the other one was white, popped up from a rock near a tree in Nigatsudo,
and perched on a tree. Soon after, the "special water" welled up from the rock.
The rock was removed and made into a well, which was named “ Akai”.
Since then it has become a tradition to take water
from the well in Nigatsudo Hall and offer it to Buddha.
This practice also relieves people of sin and enables them
to pray for protection and prosperity in the coming year,
not only for them but for the country and the world peace.
( written by Ichigo )二月堂縁起
「実忠和尚二七ヶ日夜の行法の間、来臨影向の諸神一万三千七百余座、その名をしるして神名帳を定(さだめ)しに、若狭国(わかさのくに)に遠敷(おにう)明神と云う神います。遠敷河を領して魚を取りて遅参す。神、是をなげきいたみて、其をこたりに、道場のほとりに香水を出して奉るべきよしを、懇(ねんごろに)に和尚にしめし給ひしかば、黒白二の鵜(う)、にはかに岩の中より飛出(とびいで)て、かたはらの樹にゐる。その二の跡より、いみじくたぐひなき甘泉わき出(いで)たり。石をたたみて閼伽井とす」お水取りは東大寺で行われる仏教行事です。 奈良では 「お水取りが終わると春が来る」と言われています。
それは東大寺の二月堂で、毎年3月の2週間行われています。
なぜ3月に行われるのに二月堂なのでしょうか。 古くからの行事は全て旧暦で行われていたからです。
お水取りとは文字通り「お水を取る(井戸から)」ということです。
このお話はこんな風に始まります。
古代、二月堂で、実忠和上が二七ヶ日夜の行法に入っていました。
この行で、彼は日本中の神々、約13700を祈りの為に招きました。
さて、京都の北、若狭からも遠敷(おにう)明神という一人の神様が招かれていました。
しかし、この神様、釣りをしていて、奈良での行に遅れてしまいました。
神様は大変恥ずかしく、申し訳なく思いました。 それで、御本尊にお供えするお水を、お詫びとして若狭より送るといいました。
奈良ではすぐその後で、白と黒の2匹の鵜が二月堂の木のそばの岩から飛び出して、木にとまりました。
そうしてその岩から水が噴き出しました。
岩は取り除かれ井戸となり、「閼伽井」と名付けられました。
それ以来、二月堂の井戸から水が汲まれ、その水を御本尊に献上するという儀式が始まりました。
この行は人々が日ごろ犯している過ちを懺悔し、新しい年の天下泰安を祈らせ、
国家の繁栄や、世界平和への祈りとなっています。